日本国債利回り歴史的高水準|5年債・10年債・30年債の最新動向2025年
2025年日本国債市場の最新動向を解説。10年債利回り1.63%、30年債3.35%と歴史的高水準を記録。石破政権への圧力緩和、日銀の金融政策転換、トランプ政権の関税政策が与える影響を詳細分析。投資家必見の国債市場レポート。

日本の国債利回りが歴史的高水準に達する中、石破首相への政治的圧力が緩和され、日本国債(JGB)市場に買い手が戻ってきている。特に5年債、10年債、30年債の利回りは過去数十年で最高水準を記録し、投資家の注目を集めている。
国債利回りの歴史的上昇
2025年に入り、日本の長期国債利回りは急激な上昇を続けている。10年国債利回りは一時1.63%まで上昇し、これは17年ぶりの高水準となった。さらに注目すべきは、30年債利回りが一時3.35%という前例のない水準に達したことで、これは発行開始以来の最高値を記録した。
新発10年国債の利回りは7月15日に2008年以来となる1.595%に達し、30年債も3.195%まで上昇するなど、全年限で利回り上昇が確認されている。特に10年超のゾーンでは大幅な上昇が顕著となっている。
石破政権への圧力緩和と市場の反応
石破首相の連立政権が選挙で大敗を喫した後も、首相は続投を主張した。国内メディアの報道によると、自由民主党(LDP)内での早期の党首選実施への機運が薄れてきており、これが市場に安心感をもたらしている。
住友三井信託アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、「LDPが党首選を前倒しする可能性は低くなってきた」と指摘し、石破首相の立場改善が投資家を最近売り込まれた30年債への投資に向かわせたと分析している。
日本銀行の金融政策の影響
長期国債利回りの上昇には、日本銀行の金融政策転換が大きく影響している。2025年1月24日の日銀の追加利上げ決定が、市場に日銀が追加利上げにかなり前向きとの見方を広めるきっかけとなった。
金融市場では、政策金利が来年1%まで引き上げられるとの期待が織り込まれており、その後は様子見に転じるとの見通しが主流となっている。「より速く」よりも「より高く」日銀が政策金利を引き上げるとの期待が、長期国債利回りの上昇をもたらしている。
超長期債市場の動向と需給要因
5月以降、30年債や40年債などの超長期金利は特に上昇基調を強めており、30年債利回りは一時3.1%台、40年債は3.6%台と、いずれも発行開始以来最高の水準に上昇した。
海外投資家の動向も注目されており、2025年1月から4月まで4カ月連続で超長期国債市場での取引が活発化している。ただし、その後は財務省による超長期債の発行減額観測などから利回りはやや低下している。
トランプ政権の政策影響
米国のトランプ政権による関税政策も日本の国債市場に影響を与えている。自動車関税(3月27日)、相互関税(4月2日)の発表により、世界および日本の景気に対する警戒感が高まり、日銀の利上げ観測は一時大きく後退した。
しかし、相互関税の各国への上乗せ関税率の一時停止(4月9日)や対中関税の追加関税部分の適用停止(5月11日)などの措置を受けて、関税政策に関する過度な不安が後退し、長期金利は再び1.5%台に回帰した。
今後の見通し
日本銀行の中川順子審議委員は、米国の関税政策から生じる持続的な不確実性が企業や家計のセンチメントに重くのしかかる可能性があると述べ、慎重な姿勢を示している。
みずほ証券の大森翔貴チーフデスクストラテジストは、「今後の10年債や30年債などの入札に対する懸念が高まっている」と指摘し、歴史的高水準の利回りが続く中での需給動向に注目が集まっている。
市場では、日本が英国のトラス・ショックのような急激な金利上昇やトリプル安が発生する可能性は低いとの見方が主流だが、財政要因や需給要因による金利上昇リスクには引き続き留意が必要とされている。