スラ代表のG1を斬るっ!~2021菊花賞

スタミナが問われると言われる菊花賞

牡馬クラシック最後の1冠は3000メートルという長丁場の菊花賞。昔は「強い馬が勝つ」と言われ、かなり格式も威厳もあったレースですが、近年は強い馬が集まらない状態にあります。去年はコントレイルが出走してくれたおかげでかなり素晴らしいレースになりましたが、いかんせん短距離思考の日本競馬ではこのタフなレースが嫌われる傾向にあります。そしてその原因の1つとしては、短、中距離に強いサンデー系に染まっている血統背景があるからです。今回はこの日本を席巻する血統傾向を中心に菊花賞の有力馬を導きだしていこうと思います。

今年は改装中の京都から阪神コースに舞台を移して開催されますが、阪神コースの3000メートルとなると、他には3月に開催される古馬のG2、阪神大賞典しかありません。3歳と古馬では違いがあるとは思いますが、この阪神大賞典の連対馬の血統的な偏りはかなり顕著です。

ディープインパクト産駒が圧倒的な菊花賞。本当にスタミナは必要?

阪神大賞典を例に取ってみると、過去7年では父ディープインパクトが3着までの21頭中5頭と、およそ4分の1を占めます。ですが、1着に限った話しならばサトノダイヤモンドのみと、ハイレベルのG1で活躍している馬なら勝ちきっているレースです。

その他で多いのはハーツクライ、ステイゴールドの2大血統。意外にも同じ血統が連覇していることはなく、この7年ではステイゴールド産駒が年を開けて2回勝っています。去年の阪神大賞典は、キズナ産駒のディープボンド。重馬場で圧倒的な勝利をし、今年の凱旋門賞にも挑戦しました。キズナ産駒はダート馬から芝馬まで幅広く産駒を排出しますが、総じて言えるのはスピードよりもパワータイプということです。

話を菊花賞に戻すと、現3歳世代は新種牡馬の占める割合が比較的多く、今年の菊花賞にもドゥラメンテ産駒が出走してきています。新種牡馬に関しての距離適性は、それこそ年単位で産駒が走ってみないとわからないものなので、ハッキリとは断言できませんが、その上のキングカメハメハ産駒が3000メートル越えの距離を得意とはしていないため、そこまでの期待をするのは酷だと考えます。

去年は京都開催ですが、やはり強かったのはディープインパクト産駒。そしてエピファネイア産駒のアリストテレスが2着に割って入りました。エピファネイア産駒は新しい種牡馬の中では長い距離に適性のある馬を出します。

ただ、スローペースになりやすいレース傾向からはスタミナ面よりも、瞬発力の方が必要になることが多いために、例年ディープインパクト産駒が最も活躍している結果になっていますね。上記の内容を踏まえると、菊花賞と同じ条件の阪神大賞典と近年の菊花賞のトレンド血統から有力馬を導きだすのが正解に近づくと考えます。

それぞれの産駒の有力馬

上に挙げた5つ(ステイゴールド産駒はいません)の血統の期待馬と、その他で気になる血統の馬を探してみます。

まずはディープインパクト産駒

ここは文句なしにレッドジェネシス。前走の神戸新聞杯でのステラヴェローチェとの接戦は良馬場ならば順位が入れ代わっていた可能性もあり、阪神2400メートルでも実績のあるこの馬を外して考えることはできないでしょう。

ディープインパクト産駒の穴馬を1頭あげると、2月のすみれSを勝ったディープモンスターに魅力を感じます。すみれSは基本的にあまりクラシックレースとの繋がりがないレースですが、注目しているのはその馬体重。前の項で阪神大賞典を引き合いに出しましたが、阪神大賞典で活躍するディープインパクト産駒の中にトーセンカンビーナやデニムアンドルビーなど、馬体重が450キロ前後の馬が一定数存在します。末脚に掛ける脚質もこの馬とマッチするので、休み明けには目をつむり、血統とコース適性だけでの勝負も面白そうです。

次にハーツクライ産駒。

ハーツクライ産駒はグラティアスとヴィクティファルスの2頭ですが、どちらも成長力が今一歩といった感じに映ります。前走のセントライト記念でも良いところがなかったために、阪神の3000に変わって覚醒できるかといったところでしょうか。脚を溜めての上がり勝負という点ではグラティアスのほうに分があるとは思います。

そしてキズナ産駒。

神戸新聞杯で多少期待したセファーラジエルは気性の荒らさを出してしまい、7着と活躍できませんでした。長距離レースでの気性の甘さは致命的で、これまでの実績からみても菊花賞はキツイでしょう。

新種牡馬ドゥラメンテ産駒。

前走のセントライト記念で一番人気に推されたタイトルホルダーですが、かなり不本意なレースになってしまいました。調教の様子からみても、かなり走れる状態にはあったと思います。長丁場を走りきる精神力はあると思いますが、いかんせん血統的にも未知数なのは確か。強さは認めても、頭で勝負するところまでの信頼は置けません。

もう一頭、夏の上がり馬のアリーヴォ。初戦にダートを使われたこともあり、かなりパワータイプであることに間違いはありません。ですが、小倉の高速馬場で下したカレンルシェルブルという馬がセントライト記念で4着と健闘しており、一概に侮ることはできないと思います。実績的には足りませんが大穴としては面白い存在でしょう。

エピファネイア産駒

エピファネイア産駒は気性の悪い馬が多いですが、そういった面を見せないのがオーソクレースです。前走で久しぶりの競馬にも関わらず、3着した自力は立派です。関東馬で輸送があるのがネックですが、性格上落ち着いて望める分、影響はないかもしれません。もちろん当日になって入れ込む事はあるから、馬券対象にするならパドックの様子は見た方が良いです。

牝馬で参戦のディヴァインラヴの前走は、斤量に恵まれたところもあると思います。阪神コースとの相性も考えると好調の福永騎手といえど、手は出しづらいです。

その他で気になる血統

重たい馬場に定評のあるステラヴェローチェは凱旋門賞を勝利したバゴ産駒。バゴの産駒は日本ではイマイチな馬が多いですが、クロノジェネシスがそれを打ち破りました。ステラヴェローチェも同様に重適性が高いですが、重馬場で見せる精神力は長丁場を走りきるのには絶好で、菊花賞でも期待は出来ると思います。

セントライト記念を鮮やかに差しきったアサマノイタズラはヴィクトワールピサ産駒。この産駒はパワータイプで、中山に強い血統です。案外長距離を走る馬を出していなく、阪神の3000メートルという舞台ではあまり強くは推せません。

最後にゴールドシップ産駒。今年のオークスでソダシ以下を破ったのはゴールドシップ産駒のユーバーレーベンでした。産駒としては父というよりは父父のステイゴールドに似ています。スピードとパワーを持ち合わせ、持続力も高く平均的に能力の高い産駒を出します。そのぶん瞬発力に欠ける所はありますが、3000メートルという観点では期待できる血統になります。

今回の菊花賞ではヴェローチェオロが出走しますが、神戸新聞杯を使えなかったために中1週での参戦になってしまいました。オヌールを完封した長い脚には期待ができますが、ローテーションの部分での不安は拭えません。

結論としては…

上記のまとめとして、血統面からの本命筆頭にはレッドジェネシスが挙がります。能力と実績も十分であることと、久しぶりに川田騎手に戻りG1制覇にも期待がもてることも強みです。

次点ではやっぱり総合力からステラヴェローチェになるでしょう。重馬場になれば勿論評価は逆転しますが、良馬場でも堅実だったダービーの走りは、タフな阪神の3000メートルなら尚更他の馬より一枚上手です。

穴の期待をしたいのが、アリーヴォとヴェローチェオロ。アリーヴォは小倉の高速馬場と不良馬場の両方での勝利と、かなりの脚腰の強さを持っています。産駒として距離は未知数ですが、鞍上がデムーロ騎手になり、一発の魅力としては一番面白いです。ヴェローチェオロはローテーションが良ければ連候補としても挙げたいくらいでしたが、今回は中1週ということで、ワイドや3連係の穴としても、そこまで強気の勝負は避けたい所です。

大穴で頭を狙うならディープモンスターです。春のクラシックでは良いところがありませんでしたが、それまでの走りとしてはしっかりとした末脚があり気性も良く、皐月賞の疲れもあったダービーよりも、きちんと休みを取った今回の方が期待ができるかもしれません。

菊花賞の各馬の仕上がりは?

今週は美浦の坂路とウッドは稍重、栗東は両方とも良での調教。全体を見た感想としては、有力どころで案外な動きだったという馬が多少いたことです。ステラヴェローチェは併せ馬で遅れていて、タイトルホルダーは重い坂路に苦戦しています。調教の動きがレースに直結するわけではないですが、印象としては良くないですね。

個人的に注目しているヴェローチェオロは、坂路コースで先着しており、見た目としては中1週の影響はそこまでないと見ます。

レッドジェネシスとオーソクレースはまずまずの動き。特にオーソクレースは一回使われた効果は絶大で、併せ馬で並ばせない好調教ですね。セントライト記念で穴を開けたアサマノイタズラも併せ馬で余裕の先着と、前走よりも調子は上がっています。今回はこの3頭を上回るような仕上がりだった馬を3頭ほど挙げておきます。

ヴィクティファルス ★★★★★

少し気負っているようにも見えますが、坂路コースを一直線にラストまでハイスピードで駆け上がっています。脚の回転も鋭く、かなり気合いの入った仕上げになっています。

セファーラジエル ★★★★★

こちらはウッドで単走ですが、馬場の外を大きなフォームでしっかりと走っています。重心が軽く沈むとストライドも良く伸びていて、脚の駆動域も広く、身体の使い方が素晴らしいです。

ディープモンスター ★★★★☆

休み明けですが、それを感じさせないパワフルな動き。若干身体は太めに写りますが、並走馬を待って追い出す余裕があり、追ってからは軽く引き離すパフォーマンスです。

代表の決断は!

実績と状態面からみてもレッドジェネシスが本命であることには間違いないでしょう。問題は対抗以下になります。

一長一短のある馬が多くなかなか難しいですが、対抗一番手にはディープモンスターを抜擢します。春のクラシックは輸送減りなどがあり活躍できませんでしたが、関西圏のレースでは強いところを見せているため、阪神コースならば他の有力馬に引けを取らないレースができると思います。

格から言えばこの次辺りにステラヴェローチェですが、調教の動きはかなり気になるため、馬場状態も加味して連下まで。3番手にはヴェローチェオロを挙げます。休み明けの前走のレースは古馬とオヌールを完封しており、調教から中1週も問題ないために思いきります。

以下

ステラヴェローチェ ヴィクティファルス オーソクレース アリーヴォ

自分としては珍しく穴目が中心になるため、馬券はワイドや3連複で広めにとっても良いと思います。