スラ代表のG1を斬るっ!~2021ヴィクトリアマイル

特殊な東京の高速マイル

先週のNHKマイルカップは歴代の中でも速い1.31.6というタイムで決着しました。先行馬が揃っていたこともあり、タイム水準が上がるのは当然のことなのですが、例年の高速馬場と違うのは、馬場が速くても前が残という事に尽きると考えています。

唯一前目で残ったグレナディアガーズはフランケル産駒で、今の東京の馬場が、外国系の種牡馬に代表されるパワーが要ることが分かります。
勝ったシュネルマイスターもドイツ血統のキングマン産駒という事で、いくらレースがハイペースになったといえど、この事実は素直に受け止めなければいけません。

原因として考えられるのはクッション値を考慮した馬場構築にあると思いますが、馬場は水物で、毎回その日の馬場を読む必要はあります。
ですが、従来の”高速=前有利”という観念は控えた方が良いと考えます。

成長株の4歳

さて、いくらパワータイプが良いと言っても、デフォルトのスピード能力は当然ながら必要であることに違いはありません。
ですので、いつもの通り前哨戦から有力馬を考察していきます。
特に今回は有力な4歳馬が多数出走してくるので、その辺りを中心に考えます。

阪神牝馬ステークス

ヴィクトリアマイルと一番相性の良いレースで、ここを勝ったのがデゼル。2着がマジックキャッスルと人気通りの決着ではありました。

特にここで勝ち切ったデゼルは、それまでマイルを走った経験がないのに加え、脚質的にも後方から行くタイプでしたが、ここでキッチリと前を捕え切ったのは成長した証拠です。2着のマジックキャッスルよりも好位で競馬が出来ており、競馬センスの向上も見て取れます。母方もリハーブルの血が入っており、長めの距離も守備範囲なため、今回の有力馬の中では一番魅力はあります。

2着のマジックキャッスルも勝負所で1歩遅れはしましたが、内に進路を切り返しながらも上り最速で追い込んでいて、パワーという点でも申し分なく、好勝負可能と見ます。
ただ、古馬になっても馬体重が安定してこないので、今週の状態面を見極める必要はあると考えます。

ここで4着だったプールヴィルは休み明けで馬体重がプラス22キロと大幅に増えたにも関わらず、33秒を切る上がりを使えており、かなりの成長が伺えます。マイルでの勝ち星がなく、ベストは1400メートルではありますが、パワーもあり、東京コースとの相性の良さからも、穴として狙うのは面白そうです。

福島牝馬ステークス

今年は新潟で行われたため、例年よりは参考になりそうですが、基本的に出走馬が低調で、ここからの馬はあまり考える必要はありません。

ここを勝ったディアンドルは若い時こそスピード能力に優れていましたが、成長力に乏しく最近は凡走続きでした。ゆったりと流れた新潟の直線で勝ち切りましたが、瞬発力に欠ける走りはこのメンバーに入るとかなり厳しいと考えます。

ダービー卿CT

中山競馬場で行われるこのレースは、どちらかというと安田記念へのステップレースになりますが、ここからもヴィクトリアマイルに参戦してくる馬がいます。

ここを牝馬ながら見事に勝ったのは、連勝で初重賞に挑んだテルツェットです。マイル重賞の常連の牡馬達を相手に捲りぎみで上がっていき、ラストは追いすがるカテドラルを1馬身振り切ってのゴールでした。メンバーレベルはそこまで高くなかったものの、重賞初挑戦でキッチリと勝ちきった総合力とポテンシャルは目を見張るものがあります。

懸念材料を挙げるとすれば、馬体重が減り続けているということでしょうか。マイルという距離で連戦してからは10キロほど馬体重が減ってきています。休養を取りながらの馬体重減なので、ここへきて大幅に減ったというようなことがなければ特別心配することはないと思います。ただ、輸送が絡んでいない馬体減であることに間違いないので、馬券の検討をする場合は調教やパドックでの状態の確認は必須です。

いつも頑張るスマイルカナは久々の影響もあったのか、惨敗でした。レースは同型の牡馬と並走する形になったので、それも良くなかったかもしれません。本番のヴィクトリアマイルはあまり得意でない東京コースに加え、同型も数頭おり、これまた苦戦する事になりそうです。

その他のレース

その他のレースの中では、中山牝馬ステークスを勝ったランブリングアレーを挙げておきます。前走は中山の不良馬場でハナ差ながら差しきっており、パワー、根性、精神力と今回の条件に向いています。

ですが、マイルでの勝ち星が新馬戦でしかないことや、ディープインパクト産駒のわりにはキレない脚質からも、飽くまでも穴としての領域を越えないと考えます。

グランか!レシスか!

このレースを検討するにあたり考えなければいけないのはやはり、グランアレグリアとレシステンシアの優劣だと思います。グランアレグリアは前走は大阪杯に出走して、大差の4着。レシステンシアは高松宮記念に出走して僅差の2着でした。

大阪杯の黒星

グランアレグリアの陣営は2000メートルくらいまでは走れると考えていて、大阪杯に挑戦しましたが、降雨で馬場が重くなったことにより適性の差が生じてモズベッロにも差されて4着と、ハッキリ言って良いところがありませんでした。

※大阪杯の検証記事はコチラ↓

グランアレグリアにとっては適性の低い馬場状態であったことは確かですが、正直レースは物足りなかったと考えます。主戦のルメール騎手はラストは疲れてしまったと話していますが、果たしてそうでしょうか。

去年の安田記念は、稍重ながら1分31秒台のタイムを叩き出し、アーモンドアイを完封しているし、高松宮記念でも届きはしませんでしたが、良い差し脚を使っています。いくら阪神コースが雨に弱いといってもグランアレグリアの実力と重実績ならば2着は確保出来たはずだと感じるレースでした。

去年のスプリンターズステークスとマイルチャンピオンシップを考えた場合、春の頃よりも反応自体が鈍くなっている可能性はあります。年齢からくるズブさということになりますが、大阪杯はまさにそんな感じでした。衰えたとまでは言いませんが、例えこのメンバー相手でも絶対強者ではないと考えたほうが良いと思います。

惜敗の高松宮記念

対してレシステンシアは、今回のヴィクトリアマイルよりも距離が短い高松宮記念からここへの参戦です。高松宮記念は大外枠ということもあったと思いますが、強引に先行することもなく、浜中騎手の好騎乗で海外G1を勝っているダノンスマッシュにあと一歩というところまで迫りました。

最後の直線で若干進路が甘くなったのは残念ですが、なにより重要なのはこのレースで多少なりとも控える競馬が出来たということです。

ダイワメジャー産駒はキレないかわりに、長く速い脚を使う馬が多いため、先行一辺倒の馬が非常に多いです。そのため、ペースや距離に左右される事が多く、活躍の幅が限られてしまいます。

前回の高松宮記念で控える競馬で結果を出し、更なる向上を求める今回は、マイルへの距離延長に多少の不安はありますが、東京の馬場傾向からも好勝負は出来ると考えます。実績からはもちろんグランアレグリアに軍配が上がりますが、先に述べた通り、両馬のラストの反応次第では、この馬がグランアレグリアの前でゴールすることも考えられます。

ただ、今回も運悪く大外枠に入ったこと、肉体的な面でもスプリンター体型になってきているということを考えると、今回はグランアレグリアの方を上に取るのが筋だと考えます。

🔰好調教馬をご紹介!

G1のヴィクトリアマイルですが、全体としては当週は控えめな陣営がそこそこ多く、終い重点の調教をしている陣営も多い印象です。栗東坂路に関しては、総じてタイムが速めなので、タイムだけを鵜呑みにして考えるのは少々危険だと考えます。

今週から東京コースはBコースに変わるので、この辺りの陣営の戦略がどう出るかは見物ではあります。いつもの通りに、その中でもよく見えた3頭を紹介していきます!

レシステンシア ★★★★★

相変わらずの好調教ですが、今回は全体のタイムは控えめにして、終い重点の調教。その差し脚も非常に速く、18番という枠から考えて、ある程度差しに回ったとしても勝負になりそうです。

サウンドキアラ ★★★★★

前走あたりから調教でも復調気配を見せていましたが、今回の調教の動きは抜群に良いです。全盛期の動きに戻っていて、今回は期待できそうです。ただ、年齢からくる衰えは多少なりともあると思うので、あまり高速の馬場は心配ではあります。

リアアメリア ★★★★☆

3頭目は悩みましたが、この馬にします。全体を通してタイムを出しており、キレというよりも、速い脚を長く使う調教をしています。もともと瞬発力のある馬ではないですが、得意な東京コースで変わるかもしれません。

ジョッキー企画の時に自分の推しであった北村友一騎手が落馬負傷で、復帰までに時間がかかりそうです。本当にジョッキーという仕事は危険と隣り合わせだという事を痛感します。今週はなにより全人馬無事でありたいものですね。