スラ代表のG1を斬るっ!~2021天皇賞春

阪神の3200という舞台

阪神コースの3200メートルというレースは近年ではほとんど行われておらず、先日に京都からの代替えで行われた松籟ステークスが一番最近のレースでしょうか。

松籟ステークスはもともと2400メートルのレースでしたが今年は3200メートルに延長されて開催されています。ここを勝ったディアスティマのタイムが基準タイムとして残っています。
3分14秒9というスローの逃げ切りという結果でしたが、これは特殊なコース取りも影響したと考えます。

外回りから内回りへ

3200メートルという距離を阪神競馬場で取るので、その性質上スタートから外回りコースを進み、内回りコースに入ります。ですので、3、4コーナーは内回りのRがキツいコーナーになります。

飽くまで松籟ステークスを見た感想ですが、京都の外回りで行われる天皇賞よりもラストの3,4コーナーにかけての捲りをする馬が辛く、直線も短いため、先行一辺倒のディアスティマが有利であったと見ます。

今回のメンバーはこの松籟ステークスとまるで実力が違いますが、レース展開としては基本的に、捲っていくよりも先行しきるか、もしくは腹をくくって最後の直線にかける馬を選ぶのが良いと考えます。

アリストテレスとディープボンド

今回の天皇賞を予想するのに欠かせないのは、やはりアリストテレスとディープボンドの4歳馬だと考えます。ともに昨年のクラシックを湧かせた2頭ですが、結果コントレイルには勝てませんでした。

菊花賞はアリストテレスがルメール騎手の好騎乗で僅差に迫ったように見えました。実際の所は分かりませんが、このレースでさえコントレイルには余裕があったと思っています。そこから離された4着がディープボンドでした。

アリストテレスはその後、年が明けたAJCC賞で不良馬場で勝利しました。この不良馬場で勝利したことにより、この馬が重馬場が「得意」だという誤解を生む結果になります。実際は菊花賞では千切ったヴェルトライゼンデに半馬身差に迫られており、そこまで重馬場を得意とするパフォーマンスではなかったはずなのです。

対するディープボンドは、菊花賞後は年明けの中山金杯を走りました。原因は様々あると思われますが、ここでは14着と惨敗でした。有馬記念との両にらみだったこともあり、調整も難しかったこともありますが、もともとダイナミックなフォームで走る馬なので、厳寒期の中山コースは良くなかった可能性が高いです。

そして2頭が対峙した阪神大賞典に舞台が移ります。

重の阪神内回り

大阪杯の検証記事にも書きましたが、近年の重の阪神コースの内回りは、適性の差がかなり出るようになっています。ここで対決した2頭も例外ではなく、より適性のあったディープボンドが圧勝しました。
アリストテレスのルメール騎手は、疲労なども考えたのか最後まで追っていなかったので、無理はしていないかもしれませんが、菊花賞とはまるで逆の結果になったことはかなりの衝撃でした。

アリストテレス自身は阪神の内回りでも問題なくこなしており、コースそのものには適性がないわけではありません、やはり重馬場が影響したのが原因と考えられますが、ここで一つ疑問が生まれます

不良の中山でそれなりで、重の阪神では惨敗と言う結果です。
上にも書いてきましたが、外側からは原因の特定は難しくはあります。
ですので、ここでは正式に発表されてるのにも関わらず、あまり知られていない一つの盲点を書いておきます。

JRAのページより引用

左から、良、稍重、重、不良、数字は含水率で単位は%です。

表を見ると、含水率だけなら東京競馬場では良なのに、阪神競馬場では不良になるというパラドクスが普通に起きます。
また全体的に見ても阪神競馬場は雨に弱いコースであることも分かります。

阪神大賞典が行われた3月21日はかなりの降雨があり、レース直前の含水率は発表の重よりも高かったと思われます。
表の通り雨に弱い阪神競馬場は、重でも不良の中山競馬場とそこまでの差はなかったと考えます。
結果、適性のあったディープボンドがアリストテレスのパフォーマンスを上回ったということになります。菊花賞でのディープボンドはヴェルトライゼンデに0.7の着差をつけているので、単純な比較でもそう考えて良いと考えます。

ごちゃごちゃと書きましたが、要は!

重ならディープボンド、良ならアリストテレスって事になります。

アーモンドアイと闘った実力馬

次に、日本の競馬界を支えたアーモンドアイと闘ってきた実力馬3頭を考察します。
毎回対戦相手に関係なく堅実な走りを見せるカレンブーケドール、長い休養を挟んだワールドプレミア、そして何かと注文の多いユーキャンスマイルです。

もう2着はいらない

先日香港の国際G1 クイーンエリザベスカップを勝利したラヴズオンリーユーの2着というオークスの成績から、長い距離でも定評のあるカレンブーケドールは、前走の日経賞でもまた2着と、毎回善戦はします。
イマイチ勝ちきれないのはこの馬自身が、対戦する馬を基準に走っているからで、今回も相手なりの競馬をすることになるでしょう。初めての阪神コースと3200という距離ですが、言った通り対戦相手を基準に走っているため、コースや距離に関係なくいい勝負をすると考えます。

ただ、有馬記念のパフォーマンスを見ると、3200メートルという距離には多少の不安はあります。コントレイルとアリストテレスの比較から見ても、3200メートルで同世代や若い牡馬を相手にするのは少し分が悪いかもしれません。

イマイチ切れないディープ産駒

ディープインパクト産駒というと最後の直線でカミソリのような切れ味で差してくる印象が強いですが、切れ味はそこそこで、長めの脚を使う馬も実は沢山います。母方の血統としてスピードの持続力を受け継いだ形になりますが、今回のレースではワールドプレミアはその代表格でしょう。

長めの休養を挟んだ今回は尻上がりに調子を上げ、今回は万全の状態で出走できるはずでしたが…
何といっても盾男の武騎手が乗らないのが痛いです。

前走の日経賞はトップハンデで、休み明け、上り最速という事を考えれば前哨戦としては文句ないですが、本番ではさらに距離が伸びます。

長距離は何といっても騎手の腕が利くので、ここは乗りなれた武騎手の騎乗が必須条件だったと考えます。これが東京の2400メートルなどであれば特に気になりませんが、今回は初めての阪神3200メートルという事で、そのあたりの差が勝負の決め手になる可能性は非常に高いです。

福永騎手はこの馬の全兄のワールドエースに騎乗したことがあり、何かと縁はありそうですが、いきなりのG1では不安はあります。コントレイルの騎乗で長距離自体には自信を持っていると思うので、ここはこの男の好騎乗に期待するしかないでしょう。

最速で、真っ直ぐに、一直線に?

重の阪神大賞典のラストの直線で外から差してきたユーキャンスマイルですが、道中は重馬場にも関わらず、ずっとインベタで走っています。これは藤岡騎手の好騎乗で、陣営は右回りを克服したと言ってはいますが、右に刺さる癖が抜けていない証拠です。

ラチを取って制御して、ラストに捲って外という藤岡騎手の判断が重馬場の阪神では奏功した結果だと考えます。

ですがスタミナと脚力はこのメンバーでも上位なのは確かで、阪神大賞典同様にしっかりと制御し、直線で真っ直ぐに走らせることができれば、上位と良い勝負する実力はあると考えます。
そのためにはラチを取りやすい内枠を引くことが重要で、仮に良馬場で外すぎる枠になった場合は馬券の対象から外しても良いと考えています。

そのほかの有力馬

冒頭でも触れた通り、先行しきるかラストの直線に賭けるか、の方がコースとしては良いと考えているので、そのあたりの観点から最後に2頭穴っぽいところを挙げておきます。

やはり前走同じ条件で圧勝したディアスティマは、馬券の対象として考えなくてはならないと考えます。ペース自体は速くありませんでしたが、捲る有力馬をものともせずに影を踏ませない競馬でした。今回は相手強化プラス58キロという斤量ですが、経験値という点で一歩リードしているので、どこまで頑張れるかという期待は持っても良いと思います。

そしてラストの脚に賭ける馬の中からディバインフォースを推します。ずっと長い距離を使ってきてはいますが、今回は格上挑戦でG1に挑むという無謀な挑戦のように見えます。

しかしながら、3歳の菊花賞ではワールドプレミアと0.3という着差で4着、その後も勝てませんが善戦は続いています。典型的なステイヤーの可能性が高く、今回の初めてのような長い距離で好走してもなんらおかしくはありません。
ですが、実績的には他の馬に遥かに劣るので、馬券の対象としては3連系の3頭目という評価が妥当でしょう。

🔰好調教馬をご紹介

今回は初の条件のG1ということもあり、それぞれチャンスと見ている模様。各陣営かなり気合いの入った仕上げになっているというのが全体を見た感想です。

状態の良い馬が多く甲乙着けがたくはありますが、その中でも目立った馬を紹介します。

ウインマリリン 特★★★★★

久々に特評価です。美浦のウッドで非常に軽やかでスピード感溢れる調教をしています。ギリギリまで研ぎ澄まされた肉体はまるでボクサーのようで、今回に掛ける気配が伝わってきます。正直メンバー的にも、実力的にも厳しいですが、デキは物凄く良いです。

ゴースト ★★★★★

前走は競走中止してしまいましたが、その影響は微塵もなく重くなった栗東ウッドコースを力強く走っています。実力としては全く足りませんが重馬場の乱戦になった場合は大穴として考えても良いくらいのデキです。

ディープボンド ★★★★☆

相変わらずダイナミック且つ雄大なフォームで力強く走っています。そのわりには脚の回転も速く、前走の疲労は無いと考えて良いです。この走りを見ても重馬場向きにはあまり見えませんが、阪神の長距離適性があることは間違いないです。

今週も全人馬無事で回ってくることを祈りましょう!