スラ代表のG1を斬るっ! ~vol.3 2020天皇賞秋

コントレイルの3冠

先週は見事にコントレイルが3冠を達成しましたが、2着のアリストテレスもかなりの健闘を見せました。やはり未経験の馬どうしでの長距離のレースでは、大きな馬券の勝負はできないと改めて痛感させられました。

穴に期待したサトノインプレッサは、やはりレース前からの入れ込みが目立ち、レースもいい所がありませんでした。調教が良く見えたブラックホールが5着と奮闘し、あわや3着という所もあったので、自分の調教診断はまずまずだったと思っています。

天皇賞秋!

🔰さて、日本の競馬レースの中で最高峰とも言える賜杯をかけたこのレースについて、競馬初心者や馬券を買い慣れない人に向けて解説、見解を書きたいと思います!

春と秋で2回ある

現在日本の競馬には天皇賞と名の付くレースが春に1回、そして秋に1回あります。春は京都競馬場で行われ、3200メートルという長丁場です。秋の天皇賞も昔は3200メートルでしたが、2000メートルに短縮され、東京競馬場で行われます。

東京2000メートル

スタンド奥のポケットからのスタートでコーナーが3回、スピードが出るコースでも逃げ切るのは難しく、最後の坂で差し切る好位で競馬をする馬が優位な傾向です。

世界的名馬アーモンドアイ

出走馬を語る上で欠かせないのがやはりアーモンドアイでしょう。
ですので、この馬の強さをまず考察します。

アーモンドアイが勝ったレースはどれも印象的ですが、自分の中で強さを確信したレースがあります。

稍重のシンザン記念

未勝利戦からの臨戦で当日は稍重の馬場、タイムから考えても重馬場に近かったと思います。そこで出遅れてほぼ最後方からの競馬でした。
しかし、それを外後方から一気に追いかけて2着に0.3もの差をつけて完勝してしまいました。前残りのレースが続く中、あれだけのパフォーマンスを3歳そこそこから出来る馬はまずいません、ましてや牝馬。これを見てこの馬の強さと精神力の違いを確信しました。

最近では無敗の3冠を制したデアリングタクトに似た印象を受けますが、強烈無比な末脚はまだまだこの馬にはかなわないでしょう。

有馬記念の惨敗

去年の有馬記念では、やはり1番人気に支持されました、が、まさかの惨敗。調整が順調ではなかったのかもしれませんが、原因は別にあると考えます。

アーモンドアイはFR型の究極形

FRというのは車の駆動方式の事です、フロント(FRONT)エンジン、リア(REAR)駆動でFRですね。生物学的に、4本足で移動する動物は後ろ脚の蹴る力をクビ、肩、背中、腰を使って前肢に伝えることにより動いています。ですので基本的に心臓をエンジンと考えるならば、4脚の動物はすべてFR型になります。ここからは持論ですが、サラブレッドの中には、このFR型以外に、車と同じく、FF(フロントエンジン、フロント駆動)タイプの馬がいると考えています。

ダートを使っている馬はまさしくそれで、胸前の筋肉やクビ指しが芝を走る馬より発達しているタイプです。もちろん後ろ脚の力を前に伝えていることに違いはありませんが、パワーのバランスとして前肢の力が強い傾向があるような馬です。

中山競馬場のようなコーナーがキツく、アップダウンあり、急坂ありのトリッキーなコースは、このFFタイプの馬が向いています。前肢で踏ん張る力や、力強い前肢の掻きこみが必要になってくるコース形態ということです。

ハンデキャップ
ハンデキャップ競走について少し。斤量が増えると競走能力が落ちます、これはあまり馬格に関わりなく落ちます。理由は上に述べた通りで、サラブレッドの背中は車で言うところのクランクシャフト(動軸)にあたる部分になります。そこに他の馬よりも重りがついていることを想像してみてください。

対してアーモンドアイは瞬発力と持続力、脚の回転の大きさと速さでこれまでのレースを圧勝してきました。後ろ脚の弾むようなパワーの強さを、前肢を他のどんな馬より速く大きく動かすことによって、スピードと歩幅に代えている走りです。そしてその回転の速さと大きさを豊富なスタミナで維持し続けるので、驚異的なレコードが出るのです。ですので、コースがトリッキーな中山競馬場はさぞかし走りにくかったことでしょう。最後はルメール騎手が馬に負担をかけないようにしていましたが、最後まで追ったとしてもその走りにくさから受けたストレスから脚は残っていなかったと考えます。1度でも中山競馬場でレースをしていればまた違っていたかもしれませんが、初めての中山コースでしかも長距離のG1では結果を出せなかったのは当然かもしれないのです。

ハイスペック故の代償

上に述べたように、アーモンドアイは他馬よりも高い身体能力をもっています。ですが肉体そのものは他馬との差はそれほどないので、このような高いパフォーマンスをすると身体に無理が出ます。ルメール騎手が「オーバーヒート」と言う言葉をつかいますが、まさにそれですね。そしてレースをしたあとも他の馬よりもダメージが大きいはずです。そのため他馬よりもレース間隔を開けていると考えています。

東京コースは最高の舞台

広々としたコースでコーナーもスムーズに処理できるような東京コースは、アーモンドアイが最も得意とするコース形態。少々衰え等が囁かれますが、多少衰えたところでそもそも並の馬とは違う走り。きっとG1最多勝利をもぎ取ることと思います。

バゴ産駒の最高傑作

次はアーモンドアイに対抗する馬について何頭か挙げていきます。

宝塚記念で圧倒的なパフォーマンスをみせたクロノジェネシス。馬場状態が稍重と、この馬には条件が向いたのかもしれません。ですが宝塚記念で2着につけた着差が6馬身、3着に着けた着差は11馬身にもなります。いくら条件が整ったとはいえ、G1でここまでの着差をつけるというのは異例です。

凱旋門賞を勝った父

クロノジェネシスの父、バゴは世界最高峰レースと呼ばれる凱旋門賞を勝っています。ですが日本で走っているこの産駒は、あまり活躍している馬がいません。とくにG1を勝っている馬となると、このクロノジェネシスの他はビッグウイークが勝った菊花賞まで遡ることになります。ですのでここまで活躍するクロノジェネシスは間違いなく日本でのバゴ産駒の最高傑作と言えます。

3歳の時には東京競馬場での瞬発力もみせており、決して速い馬場が不得意な訳ではありません。長い脚も使えるし、瞬発力もあり、力のいる馬場も苦にしない言うなれば、万能型の馬です。ですがやはり一瞬のキレではこの馬を上回る馬もいるので、あまりアーモンドアイを意識しすぎた乗り方をすると、他馬にも出し抜けを食らう可能性はあります。心配しなくとも北村騎手はその辺りも考えての騎乗だと思うので、この馬がアーモンドアイに対抗するひっとうであることは確かでしょう。

レジェンドが導く軌跡

3歳の時に不良馬場の菊花賞を制してから勝ち星のないキセキ。そのパワフルな走りと風貌からいまだに根強いファンがいる馬です。

それからは、激しい気性のせいか思うように競走成績が上がりませんでした。ですが川田騎手とコンビを組んで先行するようになってからは本当に惜しい競馬が続いていました。ところが凱旋門賞に挑戦することをきっかけに外国人騎手に乗り変わってしまったため、その絆が切れてしまいました。今年の阪神大賞典で再び川田騎手が乗っても上手く走れないほどにその心は乱れていたように感じます。

武豊に託された物語

本番の天皇賞は武騎手に任されました。ですがレジェンドの腕をもってしても半ば暴走ぎみなキセキを押さえることはできませんでした。そして宝塚記念の週に変化が起きます。

キセキは最終追い切りは決まってコース追いをしていましたが、この時は坂路で追い切りを行っていました。キセキの最終追い切りを見る度に思っていた覇気のなさは消え、力強く坂路コースを登る姿に復活を期待するのと同時に、陣営は何か考えていることがあるのではないかと、感じました。

再びの脚質変更

追い込みから先行、そして宝塚記念では再び追い込みに転じ、クロノジェネシスには及びませんでしたが2着に入りました。前走の京都大賞典でも良く追い込んで香港G1を勝っているグローリーヴェイズの2着にせまり、今や売りだし中のキングオブコージを下しています。

もともとはあのドロドロの不良馬場の菊花賞を制した馬。その素質、パワー、根性は他の馬よりも遥かに上のはずです。天皇賞はフランスから帰ってきた武騎手に戻り、アーモンドアイに次ぐレコードをもつ東京コースで、今のクッション値を意識した馬場であれば、アーモンドアイを追い詰めることが出来ると思います。そして、レジェンドが描く軌跡を奇跡に変える物語を演じるだけです。

前哨戦の毎日王冠

それでは次に、毎年有力馬が出てくる毎日王冠をみていきましょう。

今年は古馬ではそこまでの実力馬が登録してこなかった印象があります。それは結果として3歳馬のサリオスが楽勝したことからもわかると思います。毎日王冠は例年ですと天皇賞に向けてのレベルの高いメンバーになるのですが、有力馬が天皇賞に直行する形をとったためこういう結果になったはずです。

このレースで注目したいのはセン馬になったダイワキャグニーです。このレースは去勢放牧明けで調整の難しいレースだった事には違いありません。ですが多きな馬体変動もなく比較的に良い状態で出走することができました。走りも良く、本番の天皇賞は、もう少し調子をあげてくると見ています。

そしてこのレースでサリオスよりも速い上がりタイムを叩き出したカデナも穴としては面白い存在でしょう。今年夏は得意の小倉のレースをパスし、1走減らしてここに合わせてきました。もともとは弥生賞の勝ち馬で2000メートルの成績は良い上に、力のいる馬場も悪くないので、有力馬の間隙をついて突っ込んできても驚けない存在な事は確かです。

好調教馬をご紹介!

今回も代表のスラが、素人目線ではありますが調教で良く見えた馬を紹介します。

基本タイムより、動き迫力重視です。

アーモンドアイ ★★★★★

ほとんど馬なりでウッドコースをダートのように軽々と走る姿から、調整は順調で、多少太めであっても走りそのものにはぬかりがありません。今回も相手探しが無難かと思います。

キセキ ★★★★☆

今回も最終追い切りは坂路、全身をパワフルに使って気合い乗りも上々、今回も追い込むかは分かりませんが馬のできはかなり良いです。

クロノジェネシス (特殊)

特殊と書いたのは評価はそれほどでもないからです。この馬はいつもあまり調教は良く見せないので、高評価はできません。ですが、JRAで出されている調教動画を見ると、少し気になる点があります。タイムを計測する上でのゴール板を過ぎても手綱を弛めていないように見えます。もしかしたら対アーモンドアイ用の秘策として何か考えている可能性はあります。(例えばロングスパートとか)単純に体重を落としたい可能性もありますが、少し気になったのでここに書いておきます。

最後に

今年の秋のG1は、記録ずくめで素晴らしい開催となっています。アーモンドアイの成し遂げようとしていることは決して簡単ではありませんが、この馬なら難なく偉業を達成する可能性は十分だと思います。またそれに対抗する馬達も、簡単には勝たせないような、良いレースをしてくれることを期待しましょう。

レースが楽しみですね!