もくじ
フランス凱旋門賞!
日本時間10月4日23時05分発走予定の、伝統のフランスG1凱旋門賞。
今年は日本馬はディアドラの1頭のみですが、1つでも上の着順を目指して頑張ってほしい所ですね。
さて、競馬を始めたばかりの人だけでなく、海外の競馬に詳しくない方もたくさんいると思います。ですのではじめに、簡単になりますが凱旋門賞について解説、見解を書こうと思います。

1920年に創設される
この歴史ある凱旋門賞は1920年に創設され、およそ100年の歴史を持ちます。
創られた目的は要するにフランス馬の宣伝のため。
それが長い歴史を経て世界最高と言われるレースにまで成長しました。
今では競馬が行われている国のすべてのホースマンの憧れであり、夢であり、目標になっています。
開催される競馬場
改修工事をしていた2016年から2017年の2開催時を除いて、ロンシャン競馬場で行われています(今の正式名はパリロンシャン競馬場)
日本の競馬場との違い
ロンシャン競馬場と日本の競馬場との違いは、とにかくまず広いということがあげられます。下の図は2400メートルを走る時のコース取りですが、見てもらうとわかる通り、コーナーを2つしか曲がらない、いわゆる「ワンターン」で2400メートルという距離に達します。

引用JRAホームページ
日本の東京競馬場を例に取ると、2400メートルという距離を取るには、ゴール板前の坂の下から1周回ってゴールまでで、コーナーの数が計4回になります。

引用JRAホームページ
コーナーを4回も回る性質上、内を回ったほうが若干距離的には有利になりますね。
所が上の図のロンシャン競馬場はコーナーが2回で角度もきつく、なおかつ下り勾配になっています。
コーナーを曲がった後に「フォルスストレート」と呼ばれる緩やかな上り勾配の直線があります。ここを抜けた後にラストの平坦な533メートルの直線に入ります。
改修後のコースはラストの直線の内側に仮柵が置かれ、内のコースをおよそ100メートルほど封印することができます。
こうするとインコースで外側に他の馬がいて身動きがとれない状態でレースが展開した場合、ラストの400メートル地点でそのさらに内側に走路を見いだせるのです。
馬群を横にバラけさせて、より公平に出走馬を勝負させる手段ですね。
芝の違い
日本の競馬場(JRA)は野芝といわれる日本芝、もしくは日本芝とイタリアングラスと呼ばれる西洋の芝との混合で構成されています。

ところが外国の競馬場は洋芝でのみで構成されているので、競馬場の地面そのものが柔らかい傾向があります。これは洋芝が悪環境に強く管理もしやすいために好まれているからです。そのかわりに、洋芝の特徴として強く根が張るので、地面が柔らかくなってしまうのです。

どうして日本の馬は勝てないのか?
日本の馬の挑戦は続く
我が国、日本からも1969年からこのレースに挑戦し続けていますが、未だに勝利がありません。どうして凱旋門賞で勝てないのでしょうか?
答えは様々な所で議論されていますが、自分的に間違いないと思っていることがあります。
馬の◯◯◯の違い
よく言われるのは芝が違うから、という理由ですが、これは同じくオール洋芝の香港競馬では、近年かなりの良績を残しているので、否定は出来ます。
馬そのもののレベルが足りないとも言われます。
しかし日本のアーモンドアイが樹立した芝2400メートルの世界レコードは、条件は異なりますがの過去10年のうち一番早いタイムだった(シャンティ競馬場での開催を除く)
2011年の凱旋門賞を3秒以上も上回りますし(勝馬デインドリーム、タイム2分24秒49)
過去凱旋門賞で好走しているハイランドリールという馬を日本馬のサトノクラウンが、香港ヴァーズというレースで見事に下しています。
それでは一体何が違うのでしょう?
個人的ではありますが、思う所があります。
人間もそうですが、良くこういう言葉を使います、そしてこれが揃ってはじめて良い結果が出るとも言われています、それは
心 技 体
サラブレッドは特に、この心の部分が重要になっていることは競馬をやっている人は分かると思います。
優れた精神力
日本の馬に比べて外国の馬はこの精神力が優れていると強く感じます。
自分は海外競馬を良く見るわけではないですが、過去に凱旋門賞のテレビ中継を見ていたときに目についたのは、パドックでの人と馬の距離の近さや騒音、ゲート入れの時の係員の不手際さです。
日本の競馬場はJRAの職員さんや係員さんが素晴らしい働きをしているので、そういうことはまずありません。こうしたところで馬の精神力のタフさが若い時から身に付いていっている可能性を感じます。
レースの激しさもあるでしょう。日本の競馬はいわゆるフェアプレイを重視している所があります。海外競馬が粗いという訳ではありませんが、騎手どうしの駆け引きやコース取り等での馬の争いは、日本よりも激しい傾向があります。
こういった日本の競馬とは違う所により外国馬は強い精神力を身に着けていくと感じています。
そしてこの精神力こそ、凱旋門賞を勝つ上でのかなり重要なファクターだと思います。
「世界最高峰」と銘打たれたレースで騎手や厩舎どうしの駆け引きも激しく、それに馬は答えなければなりません。さらに日本馬としては走りなれない形状のコースや力のいる芝もストレスになるでしょう。そして異国への移動やその環境の違いに対するストレスにも対応できなければいけません。
人間でも度胸があるとか、プレッシャーに強いとか言われている人は、良い結果を残していることが多いですね。
簡単に言ってしまうと神経が図太い馬が強さを発揮出来る可能性が高いということですが、この先このような凱旋門賞を勝てる馬が出てくるのかどうかは今後に期待しましょう。
注目馬をご紹介!
ここまでは簡単にですが、凱旋門賞の説明と見解を書いてきました。
ここからは今年の注目株と言える馬を何頭か紹介していくことにしましょう!
エネイブル (英国)
もはやここ数年の凱旋門賞はこの馬抜きでは語れません。
2017年、2018年とこのレースを連覇し、去年も2着に入った歴史的な牝馬です。
この馬の強さは上にも書いた通り、並外れた精神力にあります。
見てほしいのは2018年の凱旋門賞。
(ピンク帽の10番、額の白い星を目印に!)
スタートしてすぐに回りを囲まれて、最後までひたすらにプレッシャーをかけられ続けます。道中は何度も走りにくい場面がありながらも直線は力強く伸びて優勝。着差は僅かなものの、この馬のたぐいまれなる精神力が証明されたレースでもあります。
今年もこの馬が中心となりますが、敢えて不安を述べるなら、過去の凱旋門賞で6歳以上の好走がほとんどないことです。
ですがこれくらいの歴史的名馬であれば、そんな過去のデータはあてにならないものだとも思えてしまいます。
果たしてエネイブルの凱旋門賞3勝目はあるのでしょうか?
ペルシアンキング (愛国)
アイルランド出身のフランスで活躍する馬です。フランスダービーを2着したあとは、安定した成績を残しています。どちらかというと1600から2000メートルの中距離を中心に走っているので、今回の舞台は若干距離が長いかもしれませんね。
前々走は重馬場で4着と負けており、今のロンシャンの馬場にあっているかは疑問が残ります。しかし、その全てを克服してこその凱旋門馬ですので、どこまで頑張れるかですね。
ジャパン (英国)
去年凱旋門賞で4着と負けからは勝ち星がありません。ここへ来ての成長はイマイチな面も感じます。
3歳の時に優勝したパリ大賞は凱旋門賞と同じ条件であり、馬場状態も稍重であったので距離や馬場適性に問題はありません。
(紫の帽子3番、額の白い星を目印に!)
そしてなんといっても、日本のレジェンド騎手、武豊騎手が今回この馬で凱旋門賞に挑戦します。優勝した場合、日本人ジョッキーとしてまさしく伝説になるので頑張って欲しいところです。
ストラディバリウス (愛国)
エネイブルと同じ厩舎のゴスデンから世界屈指のステイヤー(長距離走者)が凱旋門賞に参戦してきました。
この馬の凄いところは無尽蔵とも思われるスタミナと精神力。
とくに圧巻なのは重馬場で行われた芝3990メートルのイギリスゴールドカップ
(黄色の帽子、馬番4番)
ラストの直線の伸びはまさに独壇場。
今回もフランスの天気が悪く、不良馬場になることが予想されます。間違いなくこの馬の力が生きてくる舞台になると思います。ですが、この馬も6歳で、データとしては厳しいですが、それを見事跳ね返して勝利を目指してほしいと思います。
ソットサス (仏国)
前走はアイルランドに遠征して4着と負けてしまいました。
ですが、いわゆる「叩き形」ということに加え、重い馬場を得意にしているので、今回のレースは前走以上に期待ができます。
フランスダービーでは前出のペルシアンキングを押さえて優勝しています。
(2着8番エネイブル、3着12番ソットサス、4着10番ジャパン)
動画は去年の凱旋門賞3着の時のものです。エネイブルにかなり肉薄しており、今年も同じような条件になれば期待はできると思います。
他の有力馬としてはパリ大賞組の4頭。
(1着8番モーグル、2着5番インスウープ、3着4番ゴールドトリップ、4着9番サーペンタイン)
優勝したモーグル以下4着までの馬が出走してきます。この4頭は少し成績が安定していませんがどの馬も一発の魅力は秘めています。
今年も沢山の素晴らしい馬が出走を決めています。
日本では昼にスプリンターズステークスが行われて、その夜に凱旋門賞が開催されます。果たして今年はどんなレースになるのか、楽しみですね!